気分の落ち込みはあらゆる精神疾患で起こりうる
気分の落ち込みというと、まずうつ病がイメージされますね。
特に国が自殺予防のキャンペーンを行うようになり、自殺と深い関係があるうつ病は、一般的に理解が進んできたように思います。
ただ、気分が落ち込む=うつ病ではありません。
極端な言い方をすれば、気分の落ち込みはあらゆる精神疾患で起こりうるのです。
例えば、認知症。
初期にはうつ病なのか、認知症なのか判断に迷う場合があります。
認知症の初期では、今まで出来ていたことが出来ないことに患者さんご自身が気づくことも稀ではありません。
そのことに気づいた時に、ショックで気分の落ち込みが出現することもあります。
統合失調症でも、うつ症状が出てくることがあります。
幻覚や妄想などの激しい症状が落ち着いた後、精神病後抑うつという状態になり、気分の落ち込みが出現することが知られています。
そのほか、神経症、躁うつ病、摂食障害や発達障害でも気分の落ち込みを伴うことがあります。
漢方薬で全てはカバーできない
気分の落ち込みが、多くの精神疾患で起こりうることはご理解頂けましたでしょうか。
我々精神科医は、精神疾患をみたときに、大きく3つのグループに分けて考えます。
外因性精神疾患、内因性精神疾患、心因性精神疾患です。
まず、外因性精神疾患は、薬物(違法薬物でも治療に用いる薬物でも)、身体疾患(からだの病気全般)、脳器質疾患(脳そのものに何らかの障害をきたした時)などを原因として、精神症状が出現したものをさします。
この場合には、原因となる薬物摂取を中止してもらう、からだや脳の治療を優先することが大事です。
この時には余り漢方薬が介入する余地はありません。
内因性精神疾患は、統合失調症、躁うつ病、うつ病が中心的な病気になります。
これら疾患については、西洋医学的治療が第一選択になります。
残念ながら西洋医学的治療より漢方医学的治療が優っているという結果が乏しいからです。
統合失調症には、第2世代抗精神病薬、躁うつ病には気分安定薬、うつ病には、SSRI、SNRI、NaSSAと呼ばれる抗うつ薬を中心とした治療を行います。
最後に残った心因性精神疾患に対して、漢方薬による治療を行います。
心因性精神疾患は、以前は神経症と呼ばれていた、不安症/不安障害、強迫症および関連症/強迫性障害および関連障害、心的外傷およびストレス因関連障害、解離症/解離性障害、身体症状症および関連症を指します。
これらのうち、漢方薬での治療ができるかどうか、診察をして漢方薬で対処可能と判断される場合に漢方薬での治療を行います。
漢方薬での治療が難しい場合でも、西洋医学的治療は可能です。
お気軽にご相談ください。
気分の落ち込みに用いる漢方薬
漢方医学的には、気分の落ち込みは気虚、気うつ(気滞ともいいます)、気血両虚を背景に起こると考えます。
気虚には気を補う作用、気うつには気を流れるようにする作用、気血両虚には気も血も補う作用のある漢方薬を用います。
気虚に用いる漢方薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、清暑益気湯(せいしょえっきとう)、茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)、六君子湯(りっくんしとう)、四君子湯(しくんしとう)、人参湯(にんじんとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)、真武湯(しんぶとう)など
気うつに用いる漢方薬
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、香蘇散(こうそさん)、大柴胡湯(だいさいことう)、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、四逆散(しぎゃくさん)、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
気血両虚に用いる漢方薬
十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)、帰脾湯(きひとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)など
- クリニック名
- 研究学園ななほしクリニック
- 診療内容
(診療科目) - 漢方内科、心療内科、精神科
- 院長
- 小野 真吾(日本精神神経学会専門医・指導医/日本東洋医学会専門医)
- 住所
- 〒305-0817
茨城県つくば市研究学園2-2-7
※駐車場あり - TEL
- 029-879-7740
- 最寄駅
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