ストレスがあるのが前提
ストレスの原因となるもの(※1)が存在し、それによってこころが葛藤状態(※2)となったとします。
この葛藤を解消することができないために、何らかの症状が出現したのが適応障害です。
適応障害では、ストレス状態、その原因となるストレス因が存在するはずです。
このストレス因が始まって速やかに発症し(診断基準によって期間が変わります)、そのストレス因がなくなれば速やかに軽快する、とされています。
そして、その症状の程度は通常考えられるものよりも、著しい苦痛をもたらす、ということも含まれます。
- ※1)職場の人間関係、健康問題、経済問題、家族内の不和など
- ※2)2つかそれ以上の欲求、衝動などが個体内に同時に存在し争っている状態
適応障害と診断するのは最後
適応障害は、似たような症状を呈する疾患を除外した上で、診断します。
我々精神科医は、精神疾患を外因―内因―心因と分けて、考えます。
まず、外因性精神疾患(※3)ではないか、内因性精神疾患(※4)ではないかと考える。
そして、それらに該当しないときに初めて心因性精神疾患(※5)ではないか、と考えるわけです。
適応障害は、外因―内因―心因のうち、心因性精神疾患に分類されます。
例えば、うつ病と適応障害は症状では似ているのですが、うつ病の診断基準を満たすのであれば、それはうつ病と診断されます。
うつ病に似ているけど、うつ病の診断基準を満たさない場合にはうつ病とは診断しません。
外因性精神疾患、内因性精神疾患ではないとなった場合には心因性精神疾患であると考えます。
このように、適応障害は他の可能性を除外した上で診断されるものです。
- ※3)脳の病気、薬物、身体の病気が原因で、精神症状が起きたもの
- ※4)脳そのものに原因があると想定されるが、まだ原因が解明されていないもの。
統合失調症、うつ病、躁うつ病などが代表的な内因性精神疾患 - ※5)精神的な原因によって精神症状や身体症状が引き起こされるもの
適応障害はどのような症状があるか
情動と行動の障害に大別されます。
抑うつ気分を伴うもの、不安を伴うもの、不安と抑うつ気分の混合を伴うもの、素行の障害(※6)を伴うもの、情動と素行の障害の混合を伴うもの、などに分けられます。
- ※6)遅刻、欠勤、不登校、社会的なルールを破るなど
適応障害の治療
ストレスの原因を除去することが一番です。
実際には、それが出来ない場合がしばしばみられます。
その場合には患者さんのストレスに対処する力を強化する必要があります。
具体的には精神療法が必要です。
精神療法だけでは症状が改善しないと考えられる場合には、補助的に薬物療法を行います。
症状が改善したら、すみやかに漸減、中止を検討します。
抗不安薬や睡眠薬を用いる事が多いのですが、これらの薬剤の依存性を考えますと、漢方薬も選択肢になりうると思われます。
参考文献
大熊輝雄原著,現代臨床精神医学改訂第12版改訂委員会編集 現代臨床精神医学改訂第12版,金原出版,2015
樋口輝彦,市川宏伸,神庭重信ら:今日の精神疾患の治療指針 第2版,p646,医学書院,2016
- クリニック名
- 研究学園ななほしクリニック
- 診療内容
(診療科目) - 漢方内科、心療内科、精神科
- 院長
- 小野 真吾(日本精神神経学会専門医・指導医/日本東洋医学会専門医)
- 住所
- 〒305-0817
茨城県つくば市研究学園2-2-7
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