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夏バテと脾胃の関係について

9月に入り、体調不良を訴える方が増えました。その症状は、倦怠感、だるさ、食欲低下、気力低下、下痢、のぼせなど。これらは一般に夏バテといわれるような症状です。

漢方医学の視点から、夏バテを見てみます。夏バテの症状は、気虚、陰虚、水滞などが原因となって生じているものと考えられます。

気虚とは、我々の生命活動を支えるエネルギーである「気」が不足してしまっている状態をいいます。気は脾胃(現代医学的にいえば、胃腸の消化吸収機能をさします)で作り出されます。夏場、脾胃の力が弱ってしまい、気を作り出す力が弱くなるために、夏バテになると考えられます。では、なぜ、脾胃の力が弱ってしまうのか。

夏場になると、暑さを解消するため、水分をとる機会が増えます。もともと、脾胃、特に脾は乾燥した状態にあって本来の力を発揮すると考えられています。夏場で水分を多くとるために、脾胃にも水分が蓄積しやすくなります。そのために、脾胃の力が弱り、気を作り出す力が弱くなり、気虚となるのだと考えられます。

陰虚とは、身体の中から「水(すいと呼びます)」が失われた状態です。夏場で汗をかき、水分が失われるのです。そのため、のぼせが生じたり、手足がほてるなどの症状が出てきます。例えるならば、ラジエーターの冷却水が切れてエンジンがオーバーヒートした状態といえます。
水滞は身体の中に水分が過剰に存在した状態です。夏の暑さに耐えかねて、水分をたくさんとったり、汗を上手にかけないで水分が滞るために生じると考えられます。

漢方医学では、気虚については、脾胃の力をつけるような方剤を用います。代表的なものは、補中益気湯、六君子湯、人参湯など。陰虚には、身体の中に水分を保持するような方剤を使います。六味丸、清暑益気湯などが代表的な方剤です。水滞には余分な水分を身体の外に出す働きをする方剤を用います。五苓散、胃苓湯などが代表です。