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どこまで話して良いの?

先日患者さんから、「どこまで、先生に話したら良いのでしょうか?」こう質問されました。とても大事なことをぽろっと聞かれてすぐに答えられませんでした。しばらく考えてみて、自分なりに答えをまとめました。
一言で言えば、話すのが辛いときには無理をして話すことはありませんよ、ということです。
患者さんの話を聞くという行為は、実はかなり侵襲的なものです。患者さんにとって負担が大きいことなのです。話したことで具合が悪くなることもあります。
特に患者さんの心の傷になっていること、辛い思い出は注意が必要です。話したことで辛い思い出を再体験することもあるのです。
精神科、心療内科領域で患者さんの話を聴くというのは、手術で患者さんに切開を加える行為に等しいのです。
患者さんが手術に耐えられる状態にあるならば、手術を選択するでしょう。もし、耐えられないならば負担の少ない治療を行い、手術が出来るのを待ちます。心の悩みも同じです。悩みの原因を深く追求するのが良いわけではありません。まずは日常生活に支障のない状態を目指す。余裕が出来て、どうしても過去の体験に触れなければならないときには、注意深く触れていく。そういう慎重さが必要だと思います。