頭痛と漢方治療
頭痛について
頭痛の中で、漢方治療が適応となるのは、一次性頭痛と呼ばれる頭痛です。一次性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛などが含まれます。
片頭痛:痛い日もあれば、痛くない日もある頭痛です。この痛くない日があるというのが偏頭痛の特徴です。
緊張型頭痛:だらだらと毎日続く頭痛。ただし、日に日に強くなる場合には、脳腫瘍や慢性硬膜下血腫の可能性があります。脳神経外科に速やかにかかるべきです。
三叉神経痛:数秒間の鋭い痛みが数時間〜1週間にわたり断続的に続く顔面の痛みです。頭痛と患者さんが感じる場合があります。
片頭痛は、「片」頭痛と書きますが、両側に痛みが来る場合もあります。拍動性といって、ドクドク脈打つような痛みだけではなく、締め付けるような痛みもあります。
片頭痛では、音や光に敏感になります。そのために、片頭痛の患者さんは、発作時に暗い静かな場所で休むことを好みます。また、頭痛時に動くと痛みが強まります。
日本頭痛学会の慢性頭痛の治療ガイドライン2013では、漢方薬5種類が推奨薬剤として含まれています。呉茱萸湯、釣藤散、桂枝人参湯、葛根湯、五苓散です。
呉茱萸湯:身体を温めて、吐き気をとってくれます。冷えて、頭痛と吐き気があるような時に用います。定時処方でも頓用でも用いられます。残念ながらとっても不味いです。でも、頭痛の患者さんは、最初は不味く感じても、飲めるとおっしゃることが多いです。
釣藤散:冷やして痛みをとり、胃腸の調子をととえる漢方薬です。上半身の症状(頭痛、のぼせ、めまい、高血圧、耳鳴りなど)をとってくれます。胃腸の弱い頭痛の方に用いられます。
桂枝人参湯:冷え症で胃腸の弱い人の薬である、人参湯に桂皮が含まれる漢方薬です。
葛根湯:虚弱な人のカゼに用いられる桂枝湯に麻黄と葛根という2つの生薬が含まれる漢方薬です。麻黄は温めて、発汗させる作用があります。葛根は、筋の緊張をほぐしてくれます。首から頭にかけて筋が緊張して痛む。そんな緊張型頭痛に用いられます。
五苓散:五苓散は、主に利水作用のある生薬からなり、そこに桂皮と朮(白朮か蒼朮のいずれか)が含まれます。桂皮は、血流をよくして、気を降ろす働きがあります。朮は、痛みを和らげてくれます。天気が悪化する前に頭痛や頭重感が来る方がおられます。そんな頭痛によく効きます。
参考文献
來村昌紀:頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本,あかし出版,2019